1.セミナーの開催

1-1 開催概要

港区区内中小企業経営者、人事担当者等を対象に、広くワーク・ライフ・バランスの周知を図る講演会と導入に繋げるセミナーを一体化した「講演会・セミナー」を開催した。

今年度、「講演会・セミナー」は、令和元年10月と令和2年2月の2回開催予定であり、今回は、その2回目の開催である。

◆開催日時:令和2年2月18日(火) 18:30~21:00
◆開催場所:港区立港勤労福祉会館 2F 勤労者教室
◆主催者:港区産業振興課港勤労福祉会館
◆講  師:株式会社メイン 代表取締役社長 山尾百合子氏
・幼少期:子役として TVCMで活躍
・小学校~中学校時代:アニメ歌手として活動
・高校時代:「新青い三角定規」歌手として活動
その後、芸能界から引退。
桐朋学園短期大学卒業後~第1期ポーラエレガンス(ポーラ化粧 品本舗)、 第15期日産ミス・フェアレディ(日産自動車)、第9期三越ファッションシスターズ三越)等、 常に広報宣伝販売促進活動の第一線で活躍。その後、人材会社にて教育指導法を学ぶ。
昭和63年10月に総合人材コーディネーション会社として (株)メインを設立。経営者としてマネージメントに携わるかたわら数多くの実務経験より得たノウハウを基にCSを中心とした教育の講師として、また経営者対象の研修会・講演等幅広く活動中。講演会は通算1,000本以上。

・(社)東京ニュービジネス協議会理事、人材・教育委員会委員長
・山梨学院大学・文京学院大学・神田外語大学、外部講師
・三田防犯協会 会員

◆講演テーマ:「人が財産 人がすべて」
◆参加者数:31名
◆アンケート回答数:24名

1-2 開催構成

第一部 18:30~20:20
◆挨拶        (港区産業振興課港勤労福祉会館 館長 上嶋英治氏)
◆港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定事業について
(港区総務部総務課人権・男女平等参画係 福島孝二氏)
◆講演  「人が財産 人がすべて」
(株式会社メイン 代表取締役社長 山尾百合子氏)
<休憩10分>
第二部 20:30~21:00
◆診断士/社労士 個別相談会

2.セミナーの内容

2-1 内容概要

株式会社メイン 代表取締役社長 山尾百合子氏による「人が財産・人がすべて」の講演を実施しました。

プロの人材を育てる・プロの人材を提供することを通じて顧客のビジネスに貢献することを目指す当社は、働きやすい職場環境構築への取り組みが評価され、令和元年度に港区ワーク・ライフ・バランス推進認定企業に選定されました。

当社のワーク・ライフ・バランスに向けた実践につき、社長の起業時の経験や企業支援の実績を交えてお話しいただきました。

〔株式会社メイン 代表取締役社長 山尾百合子氏〕

2-2 内容詳細

Ⅰ.これまでの歩み
1.山尾氏自身の歩み
  • 祖父は自動車整備機械商社を創業、父がその後を継ぐ。
  • 自身は幼少期にCMの子役として活躍。当時のトヨタパプリカのCMは1分30秒だったが、今のyoutubeのCMは6秒。すなわち時代はそれだけ変わっているということ。
  • 高校時代、歌手ユニット「新青い三角定規」として活躍するが引退。このとき、お金をいただき続けることの大切さ、すなわちプロの仕事というものを痛感した。世の中にはいろんな人がいるということも思い知った。この経験が自身の原点であり、今の企業経営にもつながっている。
  • 短大卒業後、就職。日産「第15期ミス・フェアレディ」等を務める。当時、車は女性のものではなく、「男性がお客様だから女性がいた方がいいだろう」という判断だったようだ。この感覚も今とはだいぶ違う。
  • 三越で「第9期三越ファッションシスターズ」を務めた際、着物を着ての立ち居振る舞いなどを教わり、教育の大切さを認識。「これからは人の時代になる」と気づき、昭和63年に当社を設立した。
  • 設立当初は、男女雇用機会均等法や労働者派遣法ができた頃。また、東京ディズニーランドが昭和58年に、幕張メッセが平成元年に開業した。人材を派遣したり、人を採用・教育したりする企業に追い風が吹いていた。
  • この頃、派遣会社は数多く設立されたが、ほぼ9割はなくなった。自社はオンリーワンのビジネスを目指したことで生き残った。そうでないと安く買い叩かれることは予想していた。小規模であることをプラスにしようと決意した。
2.当社の理念
  • 性別・年齢に関係なく活躍できる会社を目指している。特に女性の感性を活かせる会社にしたいと思っている。しかし女性だけでは行き詰まる。当社の社員の半分は男性。多様な人材がいるのが強み。
  • お客様の幸せは当社社員の幸せ。その思いがあれば、社会の役にも立てると考えている。
Ⅱ.選ばれるお店とそうでないお店の違い
  • 人材派遣や教育の仕事をしていて、多様な人材、特に女性を活かす環境を整備する必要性を感じている。
  • 質問1:「30年続く会社は、全体の何割くらい?」
    →10,000社に2社しか残らない
  • 質問2:「免許保有の女性比率はどのくらい?」
    →女性45.1%、軽自動車女性のユーザー率は62%
  • つまり、女性の社会進出がそれだけ進んだということ。
  • 主に男性が行ってきた経営が今の日本を作ってきた。しかし今の時代、女性の感性も必要。なぜなら消費のカギを握っているのは女性だから。
  • 女性ファンの多いお店はシニアパワーも動かす。
  • 質問3:女性客に評判の良い自動車販売店は、具体的に何が評価されているのか?
    →名前を呼んでくれる、トイレがきれいなど様々あるが、車の性能に関しては、優先順位は高くない。この結果から、男性から見えるものと女性から見えるものでは違うということが想像できる。
  • 選ばれる店はホスピタリティが高い。五感で誠意を伝えることが大事。
  • 今の時代は、「どこから買うか」ではなく、「誰かが買うか」が大事。選ばれるお店は感動を提供している。
  • いかに「このお店にまた来たい!この人にまた逢いたい!」と思ってもらえるか。
Ⅲ.多様な人材を生かすために
  • 以上で見てきたように、消費者が多様化しているのだから、企業にもダイバーシティが求められる。女性、シニア、外国人などが活躍している企業は五方良しである(お客様・社員・会社・社会地域・協力会社)
  • そこで重要なのが「働き方改革」。多様な人材を生かすためには多様な働き方の選択肢を準備しなければ。猛烈に働き稼ぐ時代は終わった。これからは、さまざまなことに挑戦して人生を豊かにする時代。ワーク・ライフ・バランスが推進されるのもそのためである。
  • 自身はかつて人の3倍働いていた。それが、女性が一人前として認められる条件であった。しかし今はそのスイッチを入れ替えないといけないと感じている。
  • これまで女性の活躍の必要性を中心に述べてきたが、本音では「女性」を強調したくない。いろいろな属性の人が活躍できる世の中になることを願う。一例として国土交通省の「トラガール促進プロジェクト」(トラガール=運送会社で働く女性)を紹介したい。
Ⅳ.まとめ
  • 企業の約7%が中小企業。大手企業だから信用できる、という世の中ではない。まして今は「セルフブランディング」時代。自分でどのように力をつけていくか考えないといけないし、企業はその個人をマネジメントしていかなければならない。
  • 今は商品の差別化ができない時代。ならば、そこで働く人で差別化していくしかない。また、ネット販売が広がっているものの、店員から直接買いたいものもある。それならば店員(社員)の満足度を高めることで顧客満足を高められるはず。
  • ワーク・ライフ・バランス推進認定企業に選ばれたのはあくまで通過点。これからも「人が財産」という思いを大切に、新たなチャレンジを続けていきたい。

(質疑応答)

Q1:(株)メインとして、事業承継をどのように考えているか。
A1:当社が30年続いたら次は100年企業を目指そうと思ったが、自分が100年経営できるわけではない。自分の色に染まった当社をどうすべきか10年考えてM&Aに向けた「お見合い」をし、3年前に名古屋の上場会社と資本業務提携を実施した。それを機に新しいビジネスも開始した。これでタスキはつなげた、頑張っているスタッフに道を開けたと感じている。ただ、自身が元気である限り、事業にはかかわっていきたい。

Q2:元法政大学教授であり「日本でいちばん大切にしたい会社」著者である坂本光司先生(平成30年度第2回セミナー講師)のお考えに通じるものがあると感じたが、ネットワークはあるのか。
A2:坂本先生のセミナーにはよく参加させてもらっている。素晴らしい研究をされている方と思う。

〔会場全景〕